今週の症例

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今週の症例シリーズです。

症例は81歳女性。

ベッドから起き上がりトイレへ行こうとした際に足がもつれて転倒。ベッド上から床にお尻から落ち、体動困難となったため救急要請となった。

既往歴は高血圧、肺気腫に対して内服コントロールされており、頸椎症性頸髄症で手術歴がある。

来院時の身体所見は、バイタルは安定しており左股関節周囲の痛みを訴えていた。左大腿の屈曲や外転などの自動運動は行えず、他動時に痛みの増強を認めた。その他、他覚的所見としては明らかな骨盤動揺性はなく、スカルパ三角の圧痛を認めた。

左大腿骨頸部骨折を疑い、股関節X-ray撮像したところ明らかな頸部骨折はなかった。

歩行困難であり、疼痛も強く間違いなく骨折はあると思っていたが、レントゲンで指摘できず途方にくれていたところ、整形外科の先生が

「骨盤輪骨折だね」

と指摘してくださった。

「えっ!?」
っと思いレントゲンを見返すと、坐骨と恥骨が折れていたのだ。

確かに、指摘されてからレントゲンを見返すと明らかに閉鎖孔の形態に左右差が生じているほどの骨折であった。

Rommens分類Ⅲbであり、手術加療の方針で入院となった。

さて、この症例から得るべき教訓は

認知バイアスに左右されてはならない

といったところである。

私はこの症例を担当したときに「まあ頸部骨折でしょう」と思い診察を始めたため、レントゲンも大腿骨ばかりに目がいってしまい、骨盤輪骨折に気が付けなかったのです。

研修医時代から口酸っぱく
「画像は『それ以外』の部分まで見なさい」
と言われてきたが、やはりその通りである。

まさに私は「頸部骨折だろう」という認知バイアスがかかったまま画像を見てしまったがために、『それ以外』の部分に目が行かず、見落としていたのだ。

ちなみに、恥骨骨折や坐骨骨折などの骨盤骨折は仙腸関節をしっかり押して触診をしないとレントゲンだけでは見落としてしまう場合があります。
疑った場合はしっかりと触って確認してみよう。

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